河馬

 

河馬

この河馬は、彫金技法の「打ち出し」技法で制作したが、実用的なアイテムには加工していない。

基本的に打ち出しには、厚さ0.8mmSILVER950地金を使用する。

普通に見られる、打ち出しと紹介されている技法では、厚さは1.2mm程度の地金を使用するが、

私は、薄い地金を鏨で“寄せる”ことで厚みを増しながら変形させて、立体的な形状を制作する。

最初に撞木槌や木の鏨で裏から肉出しする以外は、全て表から鏨で成形する技法である。

 

河馬は全長が5m近い巨獣である。

斜め正面よりの角度でレリーフとして制作したが、平面の写真と違い、空間を歪めることで、

この距離感を表現する必要がある。

少し理屈っぽい説明になるが、平面を1、完全立体を10と仮定すると、29までの微妙な立体感を駆使して表現するのが、レリーフの面白さであると理解している。

この作品の“正面”以外の角度の写真からも、空間の歪みを実感できると思う。

 

河馬の皮膚の質感と鏨跡が、程よく調和していると自画自賛(???)

本体・SILVER950

 

33mm×横28mm×厚さ9mm